ホームレスも社長も




風呂屋は客を選ばない商売である。
客筋や職業、年齢など一切の“しばり”に関係なく、全ての人を対象とした営業だと思う。近年では珍しくなった事業と言えるのではないだろうか。そして社長も従業員も、金持ちも貧乏人も隔たりなくスッポンポンで過ごすのである。思えば不思議な空間である。このバリアフリーが風呂屋文化の真髄であり、銭湯の原点ではないかと思う。ただこの事は一定のルールが無ければ成り立たないであろう。それがモラルであり他人を気遣う心配り、マナーではないかと思う。自分だけの道徳観や、他人が目に入らない人が多い昨今、お風呂屋さんの役目がますます増しているのではないだろうか。
たまにホームレスの人を風呂屋で見かける事がある。客の少ない時間帯にそっと片隅で体を洗い、湯舟には浸からずに出て行くうしろ姿は、それでも満足げである。又、体にハンディを持つ人が人目をはばかって、お客さんのいない時間をねらって風呂屋を利用している話も耳にする。これらの人達がのんびりと湯に浸かって「ホーッ」とため息がつけるようなお風呂屋さんであってほしいと願う。



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