甲子園第3コーポラス 改修工事 |
改修設計方針 |
本改修工事は、1995年1月17日阪神大震災の被災に伴う復旧改修工事である。 本来、恒久復旧とは建築物の構造体を中心に補修及び補強を加え、その建築物を被災以前の状態に戻すと同時に現況強度基準に合致させることが必要であると考えられる。 従って改修設計にあたっては、新耐震を含め現行法に基づいて検討されてしかるべきである。 しかしながら本コーポラスは、新耐震以前の設計であり、なおかつ軽量鉄骨を使用したプレファブ構造の鉄骨造で構造図面・構造計算書も現存していない状態にある。 そこで、被災部分を中心に各構造メンバーの調査を行い現在の構造計算方式で検討したところ、旧基準においても柱・梁・ブレースのメンバーは断面不足であり、十分な構造耐力を有しているとはいえない結果を得た。 したがって恒久復旧は、相当な出費と難工法が予測されることから困難であるといわざるをえない。 ただ、構造体調査の結果、被災部分は震災以前からの鉄骨腐蝕による強度不足の部分であり健全な鉄骨部分に対する影響はあまり見られないこと。現に震災によって倒壊しなかったという現実があり、所有者・住民、諸処の情況からみて現行法による建替えや、大規模改修等は、あまりにも困難な問題が多いこと等考慮して、 本改修設計は、現に阪神大震災によって倒壊しなかった現実がある限り「構造体を震災前の状態に戻してやれば同程度の応力に耐えうるのではないか?」という考えにたち、あくまでも建物を震災以前の強度に戻す事であり、漏水等による構造体のさらなる強度低下を防止するための改修工事である。 尚、今後リフォーム等内装工時事には、併せてブレースなど必要な構造部分への補強工事が望まれる。 構造監修 間島建築設計事務所 |
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