ゲタ札

ゲタ箱の鍵がなぜ木製なのか?不明であるが、風呂屋も昔の芝居小屋と同じように下足番がいて、はきものを預かっていたようである。その預り証の木札がゲタ箱の今も受けつがれていると考えられる。もっとも、古い風呂屋に行くと脱衣箱と共にアルミなど金属鍵のレトロな錠もあって楽しい。
ゲタ箱も地方や、お風呂屋さんによってさまざまである。
京都では、個別のゲタ箱数が少なくオープン棚を併設している。これは脱衣箱も同じで脱衣籠の風習が今も残っており、鍵のかかる脱衣箱も籠ごと入るように大きくなっている。

名古屋の古い風呂屋にはゲタ箱の扉に味わい深いアルミの鋳物のグリルをはめ込んで、中のはきものが見えるようにしたものもある。

近年ではブーツように箱の高さを高くとった下足箱なども出現している。ただ、体格がよくなって足も大きくなっているのに昔ながらの大きさのゲタ箱が多い。奥行きも少し大きくとってほしいものである。
ゲタ箱や脱衣箱の鍵は昔ながらの押し込み鍵が多く、これにはマスターキーがあってどの箱でもあくようになっている。このマスターキーは簡単に作れるので“板の間稼ぎ”が横行することとなるのである。
貴重品は持参せず、脱衣箱の鍵は足にはめるなど、必ず身につけておくことが重要。