浴場設備のシステム

浴場設備のシステムはそのお風呂屋さんによってさまざまであるが、大まかには次のようになっている。
まず、井戸水か水道水を水タンクに貯水する。水タンクの水は温水器を通ってボイラーに行き80℃前後に加熱される。お風呂屋さんにとってこの湯が命となる。浴場内で使用する湯は全てこれでまかなわれる。浴槽の昇温や継ぎ足し、あつ湯のカランはこれをダイレクトに使用し、シャワーや適温のカランはこれを水とミキシングして用いる。又、湯を使用するサウナやスチームにもこの湯を回している。
水は、水道水の直結、貯水タンクの水の直接使用、貯水タンクから温水器を通した水の3系統に分かれる。水道水の直接使用は飲料水や洗面所、水タンクから直接取り出す水は水風呂など冷却して使うものや上りシャワーなど、その他ボイラーで沸かす水や浴槽用は温水器を通した水を使用する。洗い場のカランに温度の低い水を使用すると、排出湯の温度が下がる。排湯温度が下がると温水器の熱効率が悪くなるので洗い場には温水器を通した水を使うことが多い。
近年の浴場システムは、浴槽の湯を直接沸かしたり、沸かした湯をダイレクトに使うことは少ない。沸かした湯の熱を水に与えて昇温する熱交換が主流である。いわば湯で湯を沸かすという考え方である。したがってお風呂屋さんの湯や水は、例えば浴槽の湯で言うと浴槽下部から取り出された湯はポンプを経てろ過機の中へ入り、熱交換器で昇温された湯が再び浴槽へ戻る、といった具合にさまざまな設備機器やタンク類をグルグルとかけめぐって循環しているものである。水道水を使用しているお風呂屋さんであっても、むやみに口にしたりしないほうが賢明であると同時に、いたずらに汚したりするととんでもない所に差しさわりが出たりするので気をつけよう。