洗髪料

洗髪料の歴史は古く、明治時代の女性客に対し髪洗い専用の湯を用意したのが始まりのようである。当時は湯銭より髪洗い料の方が高かったそうで、日本髪の女性の苦労がうかがえる。
その後も洗髪料は女性のみ対象で、女風呂には洗髪専用の大きな鋳物製洗面器が備え付けられていたのを記憶している。
やがて洗髪料は男性からも徴集することになるが、理由は単純であった。男性の髪が長くなったからである。
ビートルズの世界的人気によって長髪の若者が増え、女性との間に隔たりが無くなったのがきっかけであった。当時の社会は長髪の流行をうれい、散髪屋さんのボイコット運動まで発展したものである。
「髪が長い」イコール「たくさんの湯が必要」が洗髪料の考え方であろうが、ヘアースタイルの多様化や、単に“洗う”行為としての風呂屋ではなくなってきている事から、最近では洗髪料は廃止の傾向にある。